住宅のリフォームを行う際、一般的に利用される補助制度として、国土交通省の『こどもエコすまい支援事業』があります。
この事業は、例えばキッチンをリフォームした場合には一律いくらの補助金がもらえるとか、リフォームにかかった費用の何パーセントがもらえるといったような単純な仕組みではありません。
使用する製品ごとに補助額が設定されており、それをひとつひとつ積み上げて計算するようなっています。
しかも、この事業で定義されているリフォーム工事の分類がいまひとつピンとこない名称になっていたり、見落としや勘違いを起こしやすいものになっていたりします。
そこでここでは、キッチンのリフォームを例にとり、どの部分が補助対象となり得るのかについて紹介したいと思います。
『こどもエコすまい支援事業』申請の注意点
『こどもエコすまい支援事業』は、子育て支援や省エネを大義名分とした事業なので、その目的に合った製品を使った部分に限定して補助が受けられるようになっています。
そのため、例えばキッチンの中でも、どの部分が補助対象となり得るのか、どの製品を使えば補助が受けられるのか、そして補助額はいくらなのかを、逐一調べる必要があります。
また、対象となるリフォーム工事の分類が、『キッチン』や『浴室』といったように実際のリフォームの空間別になっているのではなく、『エコ住宅設備の設置』とか、『子育て対応改修』といったように目的別になっています。
そして、その中から該当するものをピックアップするという非常に分かりにくいシステムになっています。

『こどもエコすまい支援事業』で対象となるリフォーム工事
しかも、『エコ住宅設備の設置』の項目の中に水栓の補助があったり、『子育て対応改修』の項目の中にレンジフードの補助があったりと、ひとつのキッチンでもその部位によって別々の項目の中に補助対象工事が入っているので、確認しなければいけない部分が多岐にわたります。
そして、レンジフードの補助が『子育て対応改修』の項目に該当しているように、その関係性がピンとこないようなものもあり、補助対象になっているものがあっても、それを見逃してしまいがちな構成になっています。
さらに、この事業のリフォームの補助は、すべての人が受けられるにもかかわらず、『子育て対応改修』などという工事名称を使っていたりするので、子育てに関わっていない人は対象外なのかと勘違いするようなものにもなっています。
このように、『こどもエコすまい支援事業』を正しく理解し、もれなく補助申請を行うのは結構難しい作業となります。
しかし、実際に補助申請の作業を行うリフォーム業者の中にも、こうした仕組みを良く理解できていない人、あるいは間違って解釈している人もいます。
そのため、補助申請の際には業者に任せきりにせず、漏れがないかを自身でチェックする必要があります。
なお、国への補助申請は、この事業に登録をした事業者(こどもエコすまい支援事業者)から行うことになっています。
ですから、補助を受けたい場合には『こどもエコすまい支援事業者』の登録が行われている事業者にリフォームを依頼する必要があります。
登録が行われている事業者は、国土交通省の『こどもエコすまい支援事業者の検索』のページで探すことができます。
キッチンをリフォームする場合に補助対象となり得る部分
ここでは、キッチンのリフォームを例にとって、補助対象となり得る部分を挙げてみます。
(外壁、屋根・天井、床、ドア・窓・ガラスの改修や太陽熱利用システム、給湯器、蓄電池、エアコン等の設置、および保険加入などの住宅全体に関わるものは除いています)

キッチンのリフォームで補助対象となり得る部分

キッチンのリフォームで補助対象となり得る箇所・製品(赤字)
この中で、節湯水栓はAの欄の『エコ住宅設備の設置』の中の項目であり、必須工事に該当します。
補助を受けるためには、この必須工事に該当する項目が入っている必要があります。
Bの欄の工事は、Aの欄の工事と同時に行う場合にだけ補助を受けることができるので、キッチンだけをリフォームする場合には、節湯水栓は確実に採用する必要があります。
なお、使用する予定の製品が補助対象に該当するかどうかは、それぞれのメーカーに確認を行うことが必要です。
以下にそれぞれの対象箇所・製品について概要を示します。
節湯水栓
節湯水栓とは、給湯の負荷を低減した省エネ型の水栓をいいます。
補助額は1台あたり5,000円となり、例えばキッチンに2台の節湯水栓を設置する場合は、5,000円×2台の10,000円の補助となります。
ビルトイン食器洗機
ビルトイン食器洗機とは、キッチン本体に組み込まれた電気食器洗機をいいます。
補助額は1戸あたり21,000円です。
掃除しやすいレンジフード
掃除しやすいレンジフードとは、洗いやすい構造になっているもの、あるいは洗いやすい素材でできているものをいいます。
補助額は1戸あたり11,000円です。
なお、後に示す『キッチンセットの交換を伴う対面化改修』で補助金を受ける場合には、掃除しやすいレンジフードでの補助は受けられません。
ビルトイン自動調理対応コンロ
ビルトイン自動調理対応コンロとは、キッチン本体に組み込まれたガスコンロまたは電磁調理器をいいます。
設定した温度に自動で調節する自動温度調節機能があること、また、炊飯ができる自動調理機能があることが条件となります。
補助額は1戸あたり14,000円です。
なお、後に示す『キッチンセットの交換を伴う対面化改修』で補助金を受ける場合には、ビルトイン自動調理対応コンロでの補助は受けられません。
キッチンセットの交換を伴う対面化改修
キッチンセットの交換を伴う対面化改修とは、対面式でなかったキッチンを対面式に改修するものをいいます。
その際、既存のキッチンセットを移設して対面改修したものは補助の対象とはなりません。
補助額は1戸あたり89,000円です。
補助対象製品の確認
補助対象となり得る部分のリフォームを行う場合であっても、すべての製品で補助を受けられるわけではありません。
補助が受けられるのは、使用する製品が『こどもエコすまい支援事業』に登録されたものであることが必要です。
使用する予定の製品が登録されたものであるかどうかは、国土交通省の『こどもエコすまい支援事業』のホームページで検索を行うことができますが、メーカーに確認した方が早いと思います。
なお、補助額が合計5万円以上にならないと補助を受けることはできません。
例えば、上記のキッチンの例で、『節湯水栓』、『ビルトイン食器洗機』、『掃除しやすいレンジフード』、『ビルトイン自動調理対応コンロ』を設置したリフォームを行うものとすると、合計の補助金は以下のようになります。
- 節湯水栓:補助額5,000円(1台)
- ビルトイン食器洗機:補助額21,000円(1戸)
- 掃除しやすいレンジフード:補助額11,000円(1戸)
- ビルトイン自動調理対応コンロ:補助額14,000円(1戸)
- 合計:51,000円
この例でいうと、合計額が5万円以上となり、補助を受けられることになります。
何をリフォームするか、どの製品を使うかによって、補助が受けられるかどうかが変わってきますので、リフォーム業者やメーカーに確認しながら決めていく必要があります。
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以上、キッチンのリフォームを例にとり、どの部分が補助対象となり得るのかについて紹介しました。
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