自宅マンションを売却する際の手順を示した情報は数多く見られますが、そこには企業側の思惑が入っているものも多く見られます。
また、不動産会社と、実際にどういったやりとりをするのか知りたいと考える人もいると思います。
ここでは、自身の経験を基に、
- マンション売却開始時の準備
- 仲介不動産会社の選び方
- 契約するときの注意点
などをまとめました。
マンション売却準備の参考としてください。
売却準備
マンションを売却することを決めて、最初に行うのは、不動産会社へのマンション販売価格の査定依頼です。
査定により売却時の相場を知る必要があります。
また、不動産会社に直接会って、どこの会社に仲介を依頼するかを決める必要もあります。
どちらかというと、その方が重要な作業になります。
複数の不動産会社に実際にマンションを見てもらい、査定を依頼するとともに、仲介を依頼する不動産会社を決めることになります。
不動産会社への査定依頼
不動産会社への査定依頼は、大手や地元など、少なくとも3社以上には声をかけることが望まれます。
SUUMOなどの一括売却査定を利用するのも便利です。
一括査定サイトも色々ありますが、複数のサイトに登録すると、次々と不動産会社からメールや電話が来ることになり、少し面倒なことになります。
実際、2つのサイトに登録して後悔しました。
登録は1つのサイトだけで十分だと思います。
また、1つのサイトに登録しただけでも、場合によっては相当数の不動産会社から連絡が来る場合もあります。
あまり多くの会社を相手にするのも大変なので、実際に査定を依頼するのは、対応の良さそうなところから3社~5社程度を選ぶのが良いと思います。
不動産会社からの説明
来てもらった不動産会社からは、査定だけでなく、売却の事務的な流れなどを確認する必要があります。
基本的にはどの会社も、『高く売れる可能性がある』と言ったような都合の良いことしか言わないので、あまりその気にならない方が良いと思います。
例えば、極めて平凡な間取りであっても、この間取りが良いとか、決して褒められるようなものではなくても、年数の割に綺麗に使っているとか・・・。
また、ここ最近は中古マンションの金額が上昇傾向なので、特にこのエリアは人気が高いです、といったことも大抵言われます。
つまり、各会社とも、「これは良い物件なので、うちの会社に仲介を任せたらすぐにでも売れますよ」みたいな営業トークをされるわけです。
商売なので、それはそうでしょうけど。
不動産会社は、契約をとるために適当な話をしてきますが、ここは真に受けずに冷静になることが必要かと思います。
最終的に販売価格を決めるためには、他のマンションと比較した客観的な評価が必要ですので、どちらかというと、そのマンションのマイナス面を聞いておいた方が良いと思います。
契約方法
不動産会社にマンションの売却について仲介を依頼するときには、一般、専任、専属専任の3つの契約方法があります。
① 一般媒介契約
複数の不動産会社と契約を結ぶことができる。また、売主が自分で買主を見つけることもできる。
② 専任媒介契約
契約を結ぶことができる不動産会社は1社だけ。売主が自分で買主を見つけることもできる。
③ 専属専任媒介契約
契約を結ぶことができる不動産会社は1社だけ。売主が自分で買主を見つけることはできない。
――― 専任と専属専任は基本的に自分で買主を見つけるかどうかの違いだけなので、以下まとめて専任と表します。 ―――
売主からすると、複数の不動産会社と契約した方が、広く情報がいきわたるので、一般契約が最も良さそうに思います。
駅に近いなど、条件の良いマンションの場合は、その方が良いかもしれません。
一方、必ずしも条件が良好ではないマンションの場合は、専任で契約し、その会社に頑張って営業活動をしてもらうという方法も考えられます。
不動産会社は、マンションなどが売れた段階で売主から手数料を受け取れるので、専任で自分の会社だけが契約をしていると、安心して営業費をかけられることになります。
これが一般契約の場合だと、他社が先に買主を見つけてしまった場合には何の利益もなく、出費だけが発生するということになります。
そのため、不動産会社としては、売主に専任契約を進めてきます。むしろ当然のように専任契約の書類だけを示して、契約をしようとしてきます。
専任契約の場合でも、その契約した不動産会社は、他のすべての不動産会社に情報を提供することが義務付けられています。
つまり、売主が契約をした会社だけでなく、全国すべての不動産会社が買主を探すことができるのです。
ただし、専任契約をした不動産会社は、できるだけ自社で買主を見つけようとします。
それは、自社で買主をみつけることにより、売主からの手数料と、買主からの手数料を、両方とも確保できるからです。
他の不動産会社が買主を見つけそうになると、専任契約をした不動産会社は、すでに自社で買主が決まりかけている、などと偽り、どうしても自社で買主を探そうとする場合もあります。
こうした行為は、「囲い込み」といって違法なのですが、専任契約をした不動産会社が、囲い込みを行っているのかどうかは、売主にはわかりません。
そのため、マンションなどの不動産を販売しようとする場合には、何も知らない素人だと思われないように、多少の不動産知識を持っているということは示しておいた方が良いと思います。
不動産会社が良く言うセリフに、「一般契約の場合には複数社から購入希望者の内覧の申し込みがあるので、その調整をすべて買主自らが行うのは大変だ。」というのがあります。
そして、「専任契約の場合は、その契約した不動産会社が、他社から申し込まれた内覧の調整も行うので、売主の手を煩わすことがない。」と言ってきます。
しかし、そんなに人気の高いマンションであれば、すぐに買い手が決まってしまうので、実際には不動産会社が言うほど手を煩わすようなことは、まず起きないと考えて良いと思います。
中には、「専任契約でない場合は、そのマンションの営業活動の優先順位は落ちる。」と、正直?に言うようなところもあります。
不動産会社としては、専任契約とするために、色々と専任のメリットを強調してきますが、売却する側としては、そうしたこともすべて踏まえたうえで、不動産会社や契約方法を決める必要があります。
不動産知識をまともに勉強しようとするのは大変ですが、「正直不動産(ビックコミックス)」では、漫画で楽しく、分かりやすく不動産業界のことを知ることができます。
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査定結果
査定額は、実際に物件を見る前に、周辺相場から概算されます。
その後、マンションの状態を見てから改めて査定額を見直したり、そのままだったりということになります。
しかし、特にそのマンションの状態に大きなプラス要素、あるいはマイナス要素などがなければ、査定結果はほとんど変化しません。
例えば、最近リフォームしたばかりだといったような、その土地の相場以外に付加的な価値があるとプラス要因になります。
逆にゴミ屋敷のような状態だとマイナス要因になります。
特に何もなく普通の状態だと、最初の見積からは基本的には変わりません。
結局、査定は近隣の過去の事例から、こんなものだろうと不動産会社が設定した金額にすぎないので、その額で必ずしも買い手が付くという保証は何もありません。
実際には商売の原則のとおり、売る人と買う人が相互に納得した金額が、その物の価格となります。
ですから、不動産会社が提示した査定額を参考にして、最終的に売主自身が、この金額で売りたい、あるいはこの金額なら売れのではないか、という額を決定することになります。
高く査定してきた会社が、必ずその金額で買主を見つけてくれるという事ではありません。
むしろ、契約を取ることが目的で高い金額を提示し、買主が見つからなかったら、金額を下げざるを得なくなるということも考えられます。
基本的には、不動産会社に対しては、まずは疑ってかかるというのが正しいスタンスかと思います(中にはまともな不動産会社もありますが)。
ところで、マンションの売却をする際、不動産会社に仲介を依頼して一般の人に売却するという方法以外に、その不動産会社に買い取りをしてもらう方法もあります。
ただしその場合、不動産会社への売却額は、査定額の6~7割ぐらいの買い取り額になってしまいます。
不動産会社は、買い取った後にリフォームを行い、その分も上乗せして販売することになります。
安くても仕方ないので、早くマンションを売ってしまいたいという人にとっては、それも選択肢になります。
仲介不動産会社の選択
結局、不動産会社を全面的に信用して依頼するということはなかなか難しいため、『不動産業界はそういったものだ』と割り切ったうえで契約先となる会社を選択するぐらいの感覚が必要なのかと思います。
自分の場合は、こちらからの質問に対して納得いくような説明を聞くことができた会社を選ぶようにしました。
以上、仲介不動産会社の選択と契約についてまとめました。
不動産会社の都合だけで物事が進んでいかないように御注意下さい。
なお、上記で紹介した『正直不動産』は、NHKでドラマ化されていました。
原作よりはヒューマンドラマ的な内容になっています。⇩⇩⇩
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