中古マンションを購入し、リフォームを行いました。
リフォームといっても、動かすことのできない柱、梁、壁を残し、その他は新たにつくり直すので、いわゆるリノベーションになります。
こうした、ある程度の大きな規模のリフォームを行う場合には、リフォーム会社の方で工事用の図面を描くことになります。
そして、図面ができると依頼者側に提示され、確認を求められます。
図面の中には、見慣れない言葉や記号が出てくることもありますが、しっかりチェックをしないと、こんなはずではなかったということにもなりかねません。
図面を確認したからには、その内容で工事を行うことを承認したことになるので、現場が図面通りにさえ完成していれば、自分が思っていたのと違っていても『時すでに遅し』となってしまいます。
そこでここでは、今回のリフォームにおいて、図面をチェックした中で実際に発生していたミスや認識違いについて例示し、チェックポイントと注意点を整理したいと思います。
こちらから提示した資料等
今回の場合は、自分の中でリフォームの内容がはっきり決まっていたことから、自身でプランを作成し、リフォーム会社に渡しました。
リフォーム会社に提示した資料等は以下のものです。
- 現況図
- 計画平面図(リフォームプラン)およびその説明書
- 施設配置位置(基準となる場所の寸法)
- 各部イメージ図およびその説明書
- メーカー製品の仕様や写真
上記資料の詳細については、『こちら』を参照下さい。
リフォーム会社から提示された図面等
リフォームの規模や内容によって違いますが、家全体をリフォーム(リノベーション)する場合には、少なくとも平面図と、各部の詳細が分かる図面(断面図や展開図、仕上表等)、その他メーカー製品の仕様を表した資料等などがリフォーム会社から提示されると思います。
今回の場合は、平面や各部の詳細、あるいは仕上げについては、ある程度こちらでラフな資料を準備してリフォーム会社に渡しているので、基本的にはそれを清書する形で図面が作成されてきました。
そのため、概ねこちらの要望にあった図面にはなっていたのですが、それでも見落としや意図の食い違いなども一部には見られました。
見落としや認識違いの具体例
今回のリフォームにおいて、こちらから提示した資料に対し、リフォーム会社から受け取った図面等の中で見落としや認識違いが見られたものについて、いくつかピックアップして具体的に例示します。
不足していたもの
こちらから提示した資料に対し、リフォーム会社から受け取った設計図面上では不足していたものが何点かありました。
換気扇
リフォーム前は、脱衣所に換気扇がなく、新たに設置することを要望しましたが、リフォーム会社から受け取った設計図面には、換気扇の記載が抜けていました。
コンセント
こちらから渡した資料に、必要な位置、必要な数のコンセントを記載していましたが、リフォーム会社から受け取った設計図には、数か所の記載漏れがありました。
また、テレビ端子についても同様に記載漏れがありました。
シャワールームの手すり
今回のリフォームでは、浴室をシャワールームに変更しました。
また、シャワールーム内もできるだけシンプルにして、鏡や棚などは一切配置しませんでした。
鏡や棚は、どうしても汚れやすいのと、棚にシャンプーのボトルなどを置いておくと、ボトルの底の部分も汚れるので、それも避けたいという意図です。
そのため、シャンプーなどのボトルは、シャワールーム内の手すりにすべて吊り下げる形をとりました。
すべて吊り下げるといっても、我が家ではそれぞれが別々のシャンプーやボディーソープなどを使っているので、全体では相当な数と重量になります。
それをすべて吊り下げるほか、本来の意味での手すりも必要なため、手すりを複数本並行して配置する計画をリフォーム会社に渡していました。
しかし、それはすっかり見落とされており、手すりを1本だけ配置した設計となっていました。
認識に違いがあったもの
こちらから提示した資料に対し、リフォーム会社から受け取った図面等では認識がずれていたものが何点かありました。
床材
床材は、脱衣所や洗面台部分を除いて、すべてフローリングとするように指定していたのですが、リフォーム会社から受け取った設計図では、トイレの床がクッションフロアとなっていました。
今回のリフォームでは、基本的に自然素材を使うことにしていたので、クッションフロアは使用せず、トイレの床も廊下と連続的にフローリングで計画していました。
しかし、リフォーム会社の経験的な思い込みにより、トイレの床はクッションフロアだと誤解されていました。
キッチンのコンセント
今回のリフォームでは、キッチンをアイランド型で配置し、さらに、キッチン本体にコンセントを組み込むことができない製品を選択したため、コンセントは、キッチンを配置した後に、露出配線で配置してもらうことを想定していました。
こちらからリフォーム会社に渡した資料には、それを明記していたつもりだったのですが、リフォーム会社では、キッチンに穴をあけてコンセントを組み込むことを考えていたようで、大きな認識のギャップが生じていました。
自分では、これで分かるはずだと思って記載したことでも、それを見た人が瞬間的に受ける印象によって、違う仕上がりをイメージしてしまうこともあるということを改めて感じました。
エアコンの規格
自分が住んでいる地域は、夏でも比較的涼しいため、冷房を使用することは、まずありません。
そのため、エアコンは暖房性能だけを基準に製品を決めました。
暖房だけに限ってエアコンの性能を調べてみると、冷房を使う場合よりも小さな規格のもので十分に対応できることがわかります。
エアコンは、規格が1段階変わると金額も大きく変わるので、リフォーム会社には、エアコンを配置する部屋の畳数よりもはるかに小さな規格のエアコンを指定し、資料として渡していました。
ところが、リフォーム会社から上がってきた設計資料を見ると、わざわざ部屋の大きさに合わせたエアコンに修正したものになっていました。
部屋の大きさとエアコンの規格が合っていなかったので、こちらが間違えているのだろうと捉えたようです。
ここでもリフォーム会社の経験的な思い込みが発生していたようです。
照明
今回のリフォームでは、家で仕事をするための『仕事部屋』をつくりました。
仕事部屋は、机と棚を置くだけの4畳ほどの小さなスペースです。
この部屋の使い方については、最初に資料としてリフォーム会社に渡していたのですが、それが照明会社の方にうまく伝わっていなかったようです。
そのため、その仕事部屋の照明計画として上がってきたものは、間接照明となっていました。
正直、照明に関しては、あまりこだわりがないため、機能さえ満たせば何でも良いと思っていました。
しかし、間接照明では仕事をするのに使いづらいため、変えてもらうように依頼しました。
やはり、照明会社の方では、この部屋を仕事部屋とは認識せずに、寝室として捉えていたようです。
リフォーム会社から提示される図面・資料のチェックポイントと注意点
上記で示した見落としや認識違いは、今回のリフォームにおける一部をピックアップしたものですが、これらにはある程度共通点があります。
ここでは、リフォーム会社から提示された図面や資料をチェックする際に、特に注意する必要があると思われることを整理したいと思います。
小さな部分は見落とされがち
普通にありがちなことではありますが、リフォームの場合でも、骨格となるような大きな部分を見逃すことは少なく、上記の例のように、コンセント、換気扇、手すりといったような、小さな部分は見落とされやすい傾向にあります。
しかし、コンセントの位置や数などは、生活していくうえで非常に重要ですし、その他のものにしても、必要性があるからそこに計画しているわけですので、どれも外すことはできません。
自身が指定したものについては、細かい部分であっても、適正な位置に、適正な数だけ配置された設計になっているかどうかを確実にチェックする必要があります。
あえて特徴的な計画とした部分は意図を間違って認識されることがある
例えば、上記の例でエアコンの規格をあえて小さなものにした場合、その製品を指定するだけでなく、『ここは〇畳の広さに対して、〇畳用のエアコンを設置する』といったように、念を押す形で記載しておいた方が良いと思います。
リフォーム会社では、どうしても標準的な設計を想定してしまったり、経験に基づく思い込みをしてしまったりすることがあります。
その結果、依頼者側の意思で、あえて特徴的な計画を行っていたとしても、無意識にスルーされたり、それ自体が間違っていると判断されたりすることもあり得ます。
そのため、そういった部分については、『ここは特徴的な計画をしている』ということを明記しておくことが間違いの防止となります。
そして、リフォーム会社から設計図が提示された際に、特にそうした特徴的な計画をした部分については、依頼者側の意図が正確に反映されているかを十分にチェックする必要があります。
やりとりは形として残しておくことが重要
見落としや認識違いといったものは、その基になる計画が明確に形として残っていてこそチェックが可能となります。
単に口頭でやりとりしていただけでは、そもそも何が正しいのかも不明となってしまいます。
リフォーム会社の担当者に『伝えたはず』と思っていても、実際の工事は、関連する多くの業者によって行われるので、必ずしもすべての工事関係者に、正確に情報が伝わるとは限りません。
いわゆる『言った、言わない』のトラブルを回避するためにも、やりとりは必ず形として残しておくことが必要です。
特に、最近ではメールでやりとりをすることも多くなっていますが、そうした途中経緯を保存・整理しておくことも大切です。
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