家やマンションの売却を決め、『後は不動産会社に売却活動を任せるだけ』と言った状態であっても、売却期間中の家の管理は、不動産会社がやってくれるわけではありません。
一般的には、マンションの売却を始めてから、買い手が決まるまでには、数ヶ月~半年、あるいはそれ以上の時間がかかります。
その際、その家に住みながら売却を行う場合は別ですが、空室にしたまま長期間放置すると、放置したなりの劣化や汚れ、臭いなどが発生します。
その結果、購入希望者が内見に来た際の印象は悪くなり、売却が遅れたり、売れなくなったりする可能性もあります。
そこでここでは、内見時の印象が悪くならないために、自身がマンションの売却期間中に行った家の管理について紹介したいと思います。
清掃
マンション売却のために家具などをすべて運び出す際、簡単な掃除道具だけはその家に残しておいて、定期的に掃除を行うように準備していました。
当然のことですが、人が住んでいなくてもホコリはたまってしまいます。
特に、家具などがすべて搬出された何もない部屋にホコリがたまっていると、非常に目立ってしまうこともあります。
掃除は屋内だけでなく、部屋の中から見える屋外部分についても行うようにしました。
通常、内見に来た人は窓からの景色を確認しますが、そこから見える景色が良くても、ベランダが汚れていると、その汚れが目立ってしまうこともあります。
また、空室になっていると、鳥にとっては近づきやすいためか、糞で汚されたり、場合によっては巣をつくられたりします。
さらに、屋内外にかかわらず、長期間放置していると、虫が繁殖したり、クモなどが巣をつくっていたりすることもあります。
これらは、建物自体の直接的な価値ではないかもしれませんが、やはり内覧者の印象としては良いものではありません。
また、一般的に購入希望者は複数の物件を見て回り、比較して購入物件を決めます。
仮に、同等の2物件を比較する場合、綺麗に管理されているものとそうでないものとでは、当然、綺麗に管理されている物件を選択する可能性が高くなります。
さらに、ベランダなどの汚れは、美観を損ねたり虫が発生する要因にもなったりするため、近所にも迷惑をかけてしまう可能性があります。
そういった意味でも、マンション売却期間中は、定期的に部屋の状況を確認し、適宜清掃を行うことが望ましいと言えます。
換気
換気については、部屋の掃除と合わせ、定期的に窓を開けて空気を入れ替えるようにしました。
換気の悪い状態が長期間続くと、建物内に湿気がたまり、劣化やカビの発生などが起こります。
また、空気がこもり、嫌なにおいが発生してきます。
これらもまた、内見者の印象を悪くするものとなります。
さらに、印象だけでなく、劣化やカビなどは、実質的に家の資産価値を下げてしまうものとなり得ます。
なお、最近のマンションは24時間換気システムになっている場合が多いので、そういったところでは、住んでいなくてもスイッチを切らずに稼働し続けておくことが望まれます。
排水トラップへの水の供給
部屋の掃除の際には、各排水管に十分に水を流すことも忘れずに行いました。
長期間水道を使わないと、排水管のトラップの部分の水がなくなり、悪臭がしたり、虫が侵入してきたりします。
排水トラップというのは、排水管の一部に水を溜めて、下水からの臭気や害虫などの侵入を防ぐためのものです。
この溜まった水を封水と言います。
排水トラップの形は、いろんなものがありますが、下の図はその概念を表したものです。
水道の水を流すと、一部の水は排水管の途中で溜まり、封水となります。
この封水が管内をふさぐことによって、下水から上がってくる悪臭や害虫を防ぐことになります。
水道を常時使用している場合には、この封水は常に一定水位にありますが、水を流さない期間が長くなると封水は徐々に蒸発し、なくなってしまいます。
そのため、特に暑い時期は、各蛇口から時々水を流すことが必要となります。
排水トラップは、各排水箇所それぞれに配置されているので、トイレを含め、家の中すべて、あるいは屋外に水栓がある場合はそれも含めて、水を流す必要があります。
特に、洗濯機の排水口は、洗濯機を搬出した後では直接水道の水を流すことが難しくなるため、バケツなどに水を汲んで流さなければなりません。
排水トラップの封水が蒸発してしまうと、悪臭や害虫の発生などにより、これもまた内覧者の印象を悪くし、家の資産価値を落とすことになってしまいます。
なお、封水の蒸発を防ぐ液体があり、それを各排水口に投入する方法もあります。
封水蒸発防止剤などの名前で販売されていますのでそれを利用することも考えられます。
ポストの確認
ポストについても、必要なものの取り出し、あるいは不要なものの処分を行うために、適宜確認するようにしていました。
売却するマンションを空室にして転居する際、一通りの住所変更と郵便局への転居の届け出は、誰もが行うと思います。
しかし、転居後も必ず何かしらのものが投函されるため、売却中のマンションのポストに物がたまってしまうことになります。
ほとんどは、まったく必要のないダイレクトメールや、ポスティングされたチラシだったりしますが、中には必要なものが混在していることもあります。
また、定期排水管清掃など、管理組合の重要な通知が入っていることもあります。
いずれにしても、マンション売却中は、まだその所有者であるため、ポストにたまったものを誰か他の人が整理や処分をしてくれるわけではありません。
ポストから物がはみ出しているのは見苦しいですし、さらにそれが溢れてしまうと、そのマンション内の人にも迷惑をかけてしまいます。
また、防犯上も問題があると言えます。
ポストがいっぱいになっているのは、不在であることを教えているようなものです。
空室なので、盗難に合うことはないかも知れませんが、中に入って荒らされないとも限りません。
そのため、時々はポストの中を見て、必要なものが入っていないかを確認し、また、適宜処分をすることが望まれます。
~売却期間中は自身で家の管理を行う必要がある~
以上、マンションの売却期間中にしなければならない家の管理について、自己の体験を踏まえて整理しました。
売却期間中の家であっても、買い主が決まって引き渡しが終わるまでは、あくまで自身の所有物であり続けます。
不動産会社が家の中の管理をしてくれるわけではないので、あくまで管理は自分自身で行わなければなりません。
内覧者の印象を悪くしないため、また、マンション内の人に迷惑をかけないためにも、清掃、換気、排水、ポストの確認は定期的に行うことが望ましいと思います。
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